藤澤武夫のことば
伸びる大企業へ
(1964.S39.1 社報特別号 藤澤武夫)
ただ漫然と大企業に移行していくことは非常に危険なことで、資本金や売上が多いとか、従業員が大勢いるとかが、大企業の代名詞ではない、とみんなが再三認識しあい、日本に大企業の一つのあり方を示そうという意欲が感じられ、たいへんうれしく思う。
大企業のもろさ、欠点を認識しつつ、大企業に移行するならば、中小企業よりもはるかに効率が高いし、はるかに成長性もあるはずである。日本では大企業は成長が鈍るというのが通説だが、やはり大企業は伸びるというのが世界の原則である。
ところが大企業はなかなか伸びていかない。一見、伸びているように見えても、かなりの穴があいている。穴があいているからこそ、本田技研が町工場から大企業に入ってこられるわけである。
以前、我われは、その穴を認識しあっていこう、と言ったことが、現在どうかと言えば、私は充分うまくいっていると思う。