藤澤武夫のことば

みんなが経営者だ

(1958.S33.9 社報 藤澤武夫)


サラリーマン族、宮仕えという言葉


宮仕えなんて、これからの近代産業にはあるべきはずがないし、サラリーマンというものは特殊な存在だとは思わない。サラリーマンだと思っていることが、企業を斜陽にさせてしまうのじゃないかと思う。


そういうことのないようにするためには、みんなが経営者だという考えをもって自分のものを守らないと、夢は永久に遠ざかっていく。


経営者という特殊なものはない。なぜなら、経営者の考え方と働く人の考え方と同じでなかったら企業は決して続いていかないから。


職場の色気について


これは大事だ。職場の色気はまず女子からやってもらわなくては。女子が会社で汚いものを見ていて気にならなかったら、その人は家庭に帰って汚いものを見ても平気だと思う。女子は職場内の汚さが許せないということになり、より美しい姿にする心づかいがあって初めて女らしくなるし、職場に色気がでてくるだろう。


なにも服装とか化粧ばかりではない。いちばんしゃくにさわるのは、よく夫婦喧嘩をきいていると「私は三度三度アノ人の好きな料理を作って食べさせたし、ほしい物だって買ってあげてきた。だからアノ人が不服を言うのはおかしい」と、言っている。


これが、私はいちばん嫌いだ。女性は一般に自分のことしか考えず、手近なところでものごとを判断する癖がある。お互いに、もう少し遠くに離れて、相手がどう感じるだろうかと汲みとってほしい。


女性ばかりがお茶を入れるのをどうかというのは、人権の点からいえば正しいだろう。


しかし女性が男性に愛されたいと思ったら、どういうふうに神経を使えばよいか考えることが、女性の幸福な生き方だと思う。


夫婦の間なんて権利義務でなく、人間らしさを求めていくことが大切だ。


一方男性も、日本の男性は女性を食い物にするという過去の歴史から目ざめ、信頼感のある、女性から尊敬される男性になってもらうことを提唱したい。