本田宗一郎のことば
まず自分のために働け
(1969.S44.4 社報 本田宗一郎)
私はいつも、会社のためにばかり働くな、ということを言っている。君達も、おそらく会社のために働いてやろう、などといった、殊勝な心がけで入社したのではないだろう。自分はこうなりたいという希望に燃えて入ってきたんだろうと思う。自分のために働くことが絶対条件だ。一生懸命に働いていることが、同時に会社にプラスとなり、会社をよくする。会社だけよくなって、自分が犠牲になるなんて、そんな昔の軍隊のようなことを私は要求していない。自分のために働くということ、これは自分に忠実である。利己主義だと思うかもしれないけど、そうではない。人間は人にもよく言われなければ自分が楽しくないという相対的な原理を持っている。
だから他人に、あの人はいい人だ、と言われるのもエンジョイなんだよ。
我われはただ単に、自分だけよければいいと言うのではない。自分をよくするためには人までよくしてやらなければ、自分というものがよくならないのだ、という原則があることを考えて自分をよくしなさいということを申し上げる。