本田宗一郎のことば

車のメーカーとしての責任

(1969.S44.4 社報 本田宗一郎)

 ここでみんなに特に言っておきたい。我われは交通機関を扱っているかぎり、責任というものを絶対に持ってもらいたい。責任の持てないような人は、すぐ辞めてもらいたい。もし責任の持てない人がいたら、ぼくは指名して辞めてもらうかもしれない。それはなぜかと言えば、交通機関というものは、人をあやめるからだ。ものすごい人身事故を起こす、人の命を預かるものだから、それだけに責任を持つことを強く要求する。責任の持てない人は、文房具を売るとか、反物を売ればいい。きず物を売って、また替えてやればいい。我われはきず物を売ったら大変なことになってしまう。だから、あくまでも、この職業についたが最後、絶対に責任の所在を明らかにする。これだけははっきり君達に言っておく。

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