本田宗一郎のことば
友情を求めるならば、まず彼の秘密を守ることだ
(1962.S37.3 社報)
人生の幸福を支える大きな要素の一つに、人間関係があると思う。これがなかったら、実に人生は無味乾燥なものだと思う。
私は人間関係の最も基本的なものが夫婦であり、最も洗練されたものが友情だと思う。
言うまでもなく、人間関係を支えるものは相互の愛であり、信頼であり、尊敬であろう。私はこれを一言でいえば、秘密を守ることだと思う。なぜかといえば、私はそれが社会のルールや人間のモラルに反する内容の秘密は別だが、そうでない限り、秘密を守るという行為の中に、その人の人格の要素となっている、さまざまな心的なものがにじみでていると思うからである。
たとえば夫婦は、最も多種多様の秘密を共有する人間関係である。真の友人関係が、これにつぐものではなかろうか。
かりに、夫婦がお互いの秘密をさらけだすときは、離婚のときであり、友人関係も破滅のときだ。
お互いに秘密を持ち、守りあう秘密の量で、人間関係の質が判断できるのであると思う。