本田宗一郎のことば

（1969．S44．４　社報　本田宗一郎）

　ことしは、資本金百万円、従業員三十人か四十人ぐらいで、浜松市で始めてから二十一年目である。二十一年で、百万円の会社が百八十二億円の会社になっている。一・八万倍になった。それは世間が支持してくれたからなったのだ。俺一人でなったのではない。世間から支持されるような思想を持って、支持される品物を作ったから、また、支持されるような行ないをしたから、これだけの会社になった、ということは言える。君達の先輩は、一人ひとりがそういう体験を持っている。だから、君達は先輩に対して、礼を尽さなければならないと同時に、後輩に対して、君達が先輩をうやまったのと同じように、君達がうやまわれるような行ないをし、思想を残してくれることをぼくは願っている。それができれば、ホンダが永遠に発展し続けていくことは間違いない。

　早く先輩に追いつき、追い越してほしい。