本田宗一郎のことば
人間味あふれる生活の実現を
(1971.S46.4 社報 本田宗一郎)
今日の機械文明の発達により、我われの生活はずいぶんと便利になった。しかしその反面、何事もクールになりがちとなっている。が、どんなに機械や技術が進んでも、最後の決め手になるのはホットな、温かい人間味、人間関係であることは、ルーニィ氏の話に示されるとおりだと思うんです。自動車という、クールなメカニズムに携わる我われにとって、このことは非常に重要なことです。アメリカではオートバイが、とてもホットに愛され、豊かな人間味あふれる生活になくてはならないものとなっている。このことを大切にしたいと思うんです。
自動車を、クールな道具として提供するだけでは充分でない。一人ひとりのお客様に、製品を通じて人間らしい豊かな生活を楽しんでいただく。そのための協力援助を積極的に提供することが、メーカーの今日的課題ではないかと思うんです。