藤澤武夫のことば

別個のものを組合み合わせ、新しいものを創りあげる

(1961.S36.9 社報 社報 藤澤武夫)


たとえば、工場のレイアウトでも、おれはこれだけのものが必要だ、おれはこれだけのものがほしい、ということでやったときに、工場の配置は、おそらく、ダイナミックにはならないね。そうなるには、入り乱れてきたときになるんじゃないかな。だから、自分のテリトリー(領域)を決めて、そこへ入ってるということでは、決してすばらしいものは生まれない。それは、近代的じゃないんだね。昔だったら、それでよかったけれども、今は自分のテリトリーと、人のテリトリーがミックスして別のものにならなければだめなんだ。たとえば、家を建てる場合、昔であれば、絨氈(じゅうたん)をこの色にするといえば、あとはそれと一つのものになる別のものが必要なんだな。それがみんなバラバラであったときは、どんなにその一つ一つがすぐれていても、たとえば、大工さんが腕がいいとか、絨氈の生地がすばらしい、とかということではしょうがない。近代では絨氈を使うとしたら、絨氈と材木との関連性はいったい誰が考えるのか、と言うことなんだ。私は会社の組織というものも、縦割りの中においてだけ、自分の役目を守ればいいという考え方は、だめだと思うんだ。だから、セクショナリズムになったんじゃ、企業の発展はあり得ない。横と横とのつながりが必要だ。


ある場合には、おれの職分でもない、あっちの職分でもない、どっちでもない別ののもが、両方で組み合わさって、できるということが、どうしても必要じゃないかと思いますね。